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集落営農活動における女性参画の現状

『集落営農活動における女性参画の現状』
―男女共同参画関係調査・分析調査事業 平成19年度報告書―
安倍澄子・諸藤享子著 全国農業改良普及支援協会刊 平成20年3月
62+(資料)25頁

 農業・農村分野での女性参画の課題が多角的に究明されている昨今であるが、その中で本報告書は「集落営農」といういわば基礎的、基盤的な領域での現状と課題について、リーダーの本音も含めて具体的に分析を試みた成果である。
 報告書は協力の得られた福井・広島・大分県において実施した339事例のアンケート調査と全国5県9事例集落営農組織調査の分析から構成されている。集落営農は各県・各地域によって性格が異なるのが当然であるが、アンケート対象では、①法人48.3%、特定農業団体29.6%、②組織の範囲 ひとつの集落単位 76.3%、③構成員数 「15人以下」25.5%「16~30人」36.3%「31~50人」25.5%④女性「0人」36.2%、「1~2人」26.3%、「3~9人」27.6%、「10人以上」9.9%、⑤構成戸数・8割弱が1戸1人である。これらの組織は稲・麦・大豆・そばを主体とし、女性構成員のいる場合は野菜の割合が高くなる。生産以外では直販・加工・直売所・交流・食育の活動が多い。女性構成員の担当している活動は「補助作業などの農作業」が84.6%と圧倒的で、「経理事務」18.1%、「販売」「加工」はともに9.3%である。そして女性の組織運営への参画状況は、「組織運営全体」参画は20.1%、「担当分野」参画は15.6%、「実働メンバーとして」は79.0%で、女性の力量を開発する課題にとってはまだ初歩的な段階であることを示している。しかしアンケート回答者に今後を聞くと、「推進したい」は54.3%「現状維持」49.35%とほぼ半々になっている。この点も含めて自由に意見を求めたところ、実に豊かな回答が寄せられ、本報告書のかなりの分量をしめて記述されている。これはいわば今日の現場指導者の苦労の中での、「集落営農」あるいは「女性参画」に止まらない地域農業振興にあたっての本音、提言、苦言として受け止めるべきではないか。
 9事例調査はこの課題での先進事例紹介であるが、その分析から(1)女性の参画を可能にした要件として①組織形態②参加資格③事業内容と役割④雇用形態⑤人間関係をあげて事例ごとに解明し、さらにそこから、(2)参画促進に向けた課題としてつぎの4点を指摘している。
 ①まず組織に女性構成員そのものを増やし、そのなかから役員を登用することである。
 ②女性の技術や経験を活かした事業展開はみられるが、その役割は部門の運営に限られており、組織全体の運営にかかわることが少ない。この「集落営農」組織でも、男女が共に主体となるように転換をはかることが求められている。
 ③事業活動のなかに女性の家庭事情・適性・仕事の習熟度などを配慮した勤務シフトと就業形態を工夫してつくりだし、全体として柔軟な雇用体制をつくる必要がある。
 ④女性組織そのもののをつくったり既存組織との連携をはかるなど、仲間づくりを進め、その中から意識的につぎつぎと人材育成をはかる。
 分析では最後にこれらの課題をすすめるための関係機関によるソフト面の支援および振興政策による現実的な支援を提起している。
 本報告書の末尾には調査事業検討委員の安藤光義氏と楠本雅弘氏のコメントがあり、いずれも短文ながら示唆に富む。
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