忍者ブログ

活動 -RIRCL-

NPO法人 農と人とくらし研究センター

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

自給再考―グローバリゼーションの次は何か

『自給再考―グローバリゼーションの次は何か』
山崎農業研究所編 農文協刊

30年以上前から独自の活動を展開している民間研究所による、今日の視点による自給論集である。10名の個性的な著者による短文の、かつ基本的な課題への提起であるから、まとめて紹介することは難しい。また、執筆者はそれぞれに著名な方々であり、地味な農村生活関連の文献紹介の、この欄にふさわしいとは思えないが、ご依頼もあり、粗末な文章で失礼したい。以下、「目次」紹介。
西川 潤 : 世界の「食料危機」-その背景と日本農業にとっての意味-
関 曠野 : 貿易の論理 自給の論理
吉田太郎 : ポスト石油時代の食料自給を考える-人類史の視点から-
中島紀一 : 自然と結びあう農業を社会の基礎に取り戻したい
        -自給論の時代的原点について考える-
宇根 豊 : 「自給」は原理主義でありたい
結城登美雄 : 自給する家族・農家・村は問う
栗田 和則 : 自創自給の山里から
塩見 直紀 : ライフスタイルとしての自給-半農半Xという生き方と農的感性と-
山本 和子 : 食べ方が変われば自給も変わる
         -自給率向上も考えた「賢い消費」のススメ
小泉 浩郎 : 輪(循環)の再生と和(信頼)の回復
こういう圧倒的な文章群に対して、こちらの短文で何がいえるか。以下断片的に。
一つは圧倒的な哲学というか、原理の提起という編集理念の問題である。いまの日本人にとって必要な糧は実際の自給のやりかたではなくて、こういう原則的な考え方そのものへの「再考」「再評価」である。この本の値打ちはそこにあるのだろう。しかしここの短文だけでは必ずしも著者たちの理念の全体に迫れない。読者はどこかでピンときたら、これらの文章群から著者たちの、それぞれの主著に接することが望ましい。そもそも自給の出発は自分自身の生活理念の独立である。
二つめは自給の基盤となる家族と地域の崩壊の現時点を原理的にどう踏まえるかという課題である。今日の社会には最早、安定したサラリーマン家庭も快適な都市生活もなく、危機的な状況はどこでも農業・農村と変わらない。かつて私の想定した自給的農村生活は20年ぐらい前の都市生活を横目に睨んでいたような側面があるが、いまはもう少し全国的な視野が求められているようである。その点でこの本は08.11月という世界史の転換になりうる時期に刊行されたことは意義深い。
三つめはそのことと関連するが、関氏が最後に指摘している「生活様式の自治」という提起の意義である。それが民主主義の要である、という規定はこれからもっと重視したい。
いま流行の家庭菜園も一つの市民的な動きだが、こういうささやかなものが自分の生活の反省、再発見の契機になりうる。現代人にとっては、まず自分の「生活」の主人公となることが求められているのでは無いか。
こういう問題提起の本として読みました。
(森川)
PR

ブログ内検索

農と人とくらし研究センター

Research Institute for Rural Community and Lifee-mail: nouhito@rircl.jp

最新記事

(07/13)
(07/13)
(06/17)
(02/27)
(09/10)
(09/05)
(01/15)
(01/15)
(01/15)
(11/20)
(11/20)
(10/31)
(10/31)
(10/05)
(10/05)
(09/23)
(06/26)
(06/26)
(06/08)
(04/27)
(04/13)
(03/17)
(03/07)
(01/23)
(01/19)

.

Copyright ©  -- 活動 -RIRCL- --  All Rights Reserved

Design by CriCri / Photo by momo111 / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]